Surveillance and Capture: Two Models of Privacy
------
書誌情報
The New Media Reader
Philip E. Agre, Surveillance and Capture: Two Models of Privacy, The New Media Reader, The MIT Press, 2003, pp.737–760.
スキャンされ、綺麗に体裁がととのえられたPDF(Westmont College)
------
Futher Reading
Agre, Philip E., and Marc Rotenberg, eds. Technology and Privacy: The New Landscape. Cambridge: MIT Press, 1997.
Agre, Philip E. Computation and Human Experience. Cambridge University Press, 1997.
Cornford, James. “The Virtual University Is . . . the University Made Concrete?,” Information, Communication, and Society, 3(4): 508–525, 2001.
Clarke, Roger. “The Digital Persona and Its Application to Data Surveillance.” Information Society 10(2): 77–92. April–June 1994.
Foucault, Michel. “Panopticism,” from Discipline and Punish: The Birth of the Prison, trans. by Alan Sheridan.
New York: Pantheon, 1977. From the French Surveiller et Punir: Naissance de la Prison, 1975.
Zuboff, Soshana. “Panoptic Power and the Social Text,” chapter 10 of In the Age of the Smart Machine: The Future of Work and Power, 362–386, New York: Basic Books, 1988.
------
Introduction by Noah Wardrip-Fruin (NWF) (pp.737-739)
しかし、これにはコンピュータの普及におけるプライバシーの議論では技術面の言及に不足がある。
これは、情報を獲得するために企業などが一定の努力をし、情報をかき集めることである。
このCaptureをするために、コンピュータが生活に溶け込むと予想している。
------
Introductioin of this paper(pp.111-113)
「プライバシー」という概念は、文化的現象である。
ビジュアルによる比喩と秘密警察による監視の歴史から議論されている。
哲学的な言語的な比喩に基づき、コンピュータがリアルタイムで追跡できる。
この二つは対立関係位あるわけではなく、どちらか一つがプライバシーの問題をすべて特徴づけるわけではない。
------
Tracking(pp.740-743)
トラッキングに関する技術が発展するにつれて、これについて議論する必要性が高まっている。
「変化」をトラッキングするわけであるが、この「変化」には二つの種類が挙げられる。
物理的な変化:GPSデバイスなどの位置の変化
意味上の変化:宅配物の配達ステータス(配達中)などの変化
その倫理的側面において、
良い面:危険物や政府の金銭の動きなどの追跡
悪い面:個人の動き(プライバシー)などの追跡
人の暮らしにコンピュータが溶け込むにつれて、技術と倫理面を離して別のものとして考えることには限界が生じてくる。両方のことについてしっかりと考える必要がある。
------
Surveillance and Capture(pp.743-744)
(2) 監視が中断されず、秘密裏に行われる
(3) 「権利」が「強制」「同意」の対立によって特徴付けられる、「私的」空間への侵入行為のような比喩
(4) 一元管理された「ファイル」(データ構造)を持つ完了期間による、中央集権
(5) 国家への同一化、特に明確に計画された悪意をもつ政治的な目的への同調
人間のオペレーション、もしくは他の装置から入力としてデータを取得するコンピュータの動作
実際のデータの取り込みに関係なく、特定の意味概念や区別を正確に表現するスキームの能力
(1) 人間の活動をコンピュータシステムの言語の構成要素に一致させる言語的なメタファー
(2) 人間の活動の言語的解析には、それらの活動への積極的な介入と再編成が含まれるという仮定
(3) 構造的なメタファー。捉えられた活動は、制度的な環境の一部として提供された「カタログ」の部品から比喩的に組み立てられる
(4) 分散型かつ異質な組織。大きな社会組織の活動に、人々が地域的な慣習などを通して参加する
(5) 活動が数学的な形式主義の超越的な秩序に同化されることを通じて構築されることで、推進力は政治的ではなく哲学的である。
------
Grammars of action(pp.745-749)
「情報」は数学的な尺度として、内容を考慮せずに情報と情報量を測定できる。しかし、これらは何かについての「情報」であり、それ自体が何かをさし示している。
重要なのは、特定の機械への「入力」や「出力」のシーケンスではなく、人間の活動がどのように構造化されているか。Capture Modelは、行動の文法が人間の活動に課せられ、新しく再構築された活動がコンピュータによってリアルタイムで表現された結果の状況を説明している。このプロセスは、5つの段階のサイクルに分割するとわかりやすい。 (1) Analysis(分析)
(2) Articulation(表出)
(3) Imposition(強制)
(4) Instrumentation(機器化)
(5) Elaboration(詳細化)
コンピュータシステムは、経験的及びオントロジー的な探究プロジェクトを通じて明確にされた行動の文法を貸すことによって、起きた活動を捉えることができるようになる。
------
Capture and functionality(pp.749-750)
Capture Modelでは、Captureしたものしか計算が出来ない。つまり、システムがCaptureする情報が少なければ少ないほど、ユーザーに提供できる機能も少なくなる。 例えば、音声メールと電子メールでは、前者が周波数スペクトルを、後者がASCIIキーストロークで情報をCaptureしている。それぞれのデータが違うものである。
------
Capture in society(pp.750-753)
出てきたアイディアの実用化としてのシステムは、単なるアイディア以上に社会的な現象である。
また、ユートピア的・ディストピア的な見方は、Captureが実際にどのように展開されていくのかについてニュアンスや複雑さを捉えることができない。
Captureのプロセスを形作る社会力と権力関係を考慮することが重要である。
------
The political economy of capture(pp.753-756)
しかし、このセクションは憶測的なものなので、研究課題の概要として提示する。
技術が取引コストを減少させると、企業の組織形態が変化する可能性がある。
Capture Modelと調和した情報技術が取引コストを削減し、活動を標準化することで、階層的またはクランのような構造から市場関係に変化する可能性がある。 また、「Captureされた情報」というカテゴリの商品が出現する可能性がある。つまり、情報が売買されるということ。
生産効率の面で社会的な利点は明確であるが、社会的なコスト(倫理面での問題など)については懸念が残っている。
------
Conclusion (pp.756-757)
デザイナーに対しては、技術的にデザインをより大きな政治的及び経済的文脈に配置するためのツールを提供し、民主主義に従って研究の優先順位をより意識的に設定する手助けとなる可能性がある。
------